雪が降った次の日


玄関に毎朝置かれていた蛙のごはんは


なかった




猫はどうしたんだろうか・・・




でもその日は お昼ごろに届けられていた




ただ いつもよりも 


多めに・・・




蛙は


窓の外を見る日が多くなって


うっすらと目をつぶった目からは


涙がこぼれていることも多くなって






雪の降った次の日


ご飯が多めにあったことを


蛙に教えてあげた




多かったのを喜ぶかと思ったら


蛙の目に 涙があふれた


ぽろぽろ ぽろぽろ・・・


一つ食べて ぽろぽろ・・・


二つ食べて ぽろぽろ・・・



次の日から 一日 一つづつ食べるようになった・・・



その日から


ぱったりと ご飯が置かれていることは 無かった・・・





猫 どうした・・・?



蛙は 何かを察したかのようだったけど・・・









ねこじゃらしの裏庭 目次









最近の蛙は


少し部屋にもなれたのか


私がいない間は


壁を器用によじ登って


桟のところでくつろいだりしているみたい




猫は


たまに道端であうけれど


何もなかったかのように


前を通り過ぎていく・・・





蛙の食事は


いつも朝に玄関のドアの前に置かれているものを


あげているけれど


たぶん 猫が用意をしてくれているんだろう



私がお箸でつまんだ虫を


ぱくっと口をあけて食べていた


飲み込むときにごくんと音がするかのように


のどが動く・・・



虫と一緒に用意されていたのは


あの雨粒のあめだった



お皿に置いておくと


いつの間にかなくなっているので


自分で食べているみたい



お腹の傷跡は すこし肌がねじれてはいるけれど


しっかりと傷口はふさがった


もう少し 内側だったら おへそみたいなのに・・・





ある日 初雪が降ってきた・・・


家に帰ると蛙が窓辺に座って庭を眺めていた・・・







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今朝は 


夜の間に降った雨で


空気はしっとりとしていた




そのせいか 


陽はまぶしく光り


いろいろなものに反射していた・・・



屋根と庭の金木犀の枝に


くもの巣がはってあって


雨のしづくがきらきらとついていた



くもも くもの巣も きらいだけれど


この様子は とても美しい



このくもの巣の主が


金木犀の葉の間から 


顔を出してこちらをうかがっているようだ



くもは もう一張りしている巣の方へ


移動して行った


そして


巣の糸を ぷるんと爪弾いた



きらきらとした雨粒が


くもの巣から 落ちていく・・・




地面に敷き詰められた枯葉の上に落ちて


ぱら ぱらぱらぱらんと


音をたてた・・・




くもの巣に目をやると


くもはどこかへ行ってしまった後だった







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猫からの頼まれごとを


引き受けることにした・・・



先に家で蛙を迎える用意をして


猫が蛙を連れてくるのを 


待っていた・・・



少し息が白く見える・・・


今朝はちょっと冷えるな・・・




部屋に小さな木箱を置いて


猫からもらった葉っぱをひきつめて置いた



その葉っぱは 部屋中に香りをただよわせていた




ねこじゃらしは 


すじが残るだけになっていた・・・


もしかしたら 


これが枯れたら もう会えなかったのかもしれないと


思った・・・



何か 不思議な世界につながっていたのかも・・・




猫が 蛙を連れてきた


口を大きく開けると


蛙がお辞儀をしていた・・・




猫はそっと机の上にのってから


蛙をころっと口から落とした・・・




いててて・・・


蛙はそういうようにお尻をなでて


猫をちらっと見た・・・



猫は 気がつかなかったように


そっぽを向いていた・・・



蛙にお願いされて いやいや連れてきたのか・・・


猫は 寂しそうににゃっと鳴いて


部屋を出て行った・・・




私は蛙を手にのせて


木箱にそっとおろしてやった・・・



道中疲れたのか 


蛙は 葉っぱの上でころっと横になったかと思うと


そのまま目をつぶって寝てしまった・・・




横になった蛙のお腹には


小さな傷が見えた・・・


猫が塗った薬なのか 


キラキラ光るものがついていた





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猫の看病のかいがあって


蛙は 少し体を動かせるまでになった




ただ


これから冬になる


寒さに耐えられるか・・・




蛙は冬眠するが


それには相当な体力があってこそ


この冬越せるか・・・



蛙がうわごとで 私の名前を呟いていたらしく


猫は 私を探していたようだった




私には この蛙には 何も覚えがないのだけれど・・・



猫は 私に蛙が春を迎えれるように


そばにいてやってほしいと頼んだ






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モズが 枝を飛び移るときに蛙をくわえようとした時に


蛙は意識を取り戻したのか 


手足をばたつかせた・・・



落とさないようにくちばしでお腹を押さえられた蛙・・・




猫が 木の幹を走りあがって


モズのすぐそばの枝で止まった





モズは 蛙を救い上げるように持ち上げたかと思うと


放り投げた・・・




猫の気を蛙に向けるために


そして モズは飛び立っていった・・・






蛙は落ちていった・・・





猫は 落ちていく蛙を


ぱくりとくわえて


地面に降り立った




蛙をそのまま口の中に入れたまま


今いるこの木の幹の穴に連れてきた・・・




蛙は モズにお腹を押さえられた時についた傷で


どんどん身体が弱っていった・・・




猫は 傷が治るように


薬草や 落ち葉を敷いて 様子をみてやった・・・







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モズは 郭公の托卵を気付かないのか・・・・


郭公は 自分の卵を温め育てることが出来ない体質なのだそうだが・・・


それを受け入れるにも


自分の産んだ卵を蹴落とされてしまうのは


なんともせつない・・・




自分よりも大きくなっていく雛に気づいて


その後 餌を与えないで巣を離れることもあるらしい・・・


その後の雛はどうなるのか・・・・



どちらも 生きていくのに必死・・・


ただそれだけなのかもしれないけれど


せつない・・・





モズの後を追った猫は


おじいさんの梅の木々の間を走り抜け


一番奥の大きな木を目指した・・・




モズは ちょうどよい木の枝を


探しているところだった・・・




蛙はモズの足元でうつぶせに押さえられていた







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おじいさんの梅の木は


落葉してしばらくすると


おじいさんの手で剪定される・・・




剪定された細い枝は


モズにとっては 


刺しやすい・・・



そのことをモズは知っているのか知らぬのか・・・




おじいさんは 


枝にささったモズのはやにえを


いつも気の毒そうに眺めていた・・・




枝にささったはやにえ・・・


おじいさんはモズが気の毒で・・・と 猫に話した・・・





あのモズは 


自分のこどもにあげることが出来なかった餌を


ああやって お供えしているんだ・・・




だから


このままそっとしておくんだ・・・と




そして 毎年 モズのために剪定しているんだ・・・と








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猫には


このあたり縄張りにしているモズが


どこへ行くのか見当がついていた・・・




ある農家の離れのおくにある梅の木・・・




この農家のおじいさんに


時々餌をもらっていた猫は


庭先の梅の枝に


ときどきなにかがさしてあることを


思い出していた・・・




普段なら そのままにしておくだろうが・・




その時は


ふいに抑え込んだ蛙の身体の感触が


そうさせたのか・・・



自分は蛙を食べない・・・



だから 獲物を横取りされた気持ちでもない・・・




あのモズは 


あの梅の木にいく・・・






猫は 一目散に走っていた・・・









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猫は


耳元で ふぅ~~と ため息のように長く息を吐いた




先ほど食べたのかな・・・というような


何か甘い匂いがした




あの蛙を 助けてやってほしい



猫は また 話し始めた






ある日のこと


猫は 狩りをしていたらしい・・・



その眼の前に 蛙が飛び出してきた・・・



思わず反射的に 蛙に飛びかかって 抑え込んでしまった


蛙と目があって 飛びのいた・・・




そのとき 目の前を横切っていくものがあった・・




蛙の姿はなく 


横切っていった方を見ると


蛙は鳥に 足をくわえられて 


連れ去らわれていった・・・




モズだ・・・










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みなさんが素敵にはばたく様子が見えます (*≧∀≦*)


今年もよろしくお願いいたします



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