つぼみは堅く・・・



もう桜も咲いていていい時期なのに


風はまだ冷たく


つぼみは堅く



それでも


陽が高く上がるころには


少し空気はゆるむ・・・




ゆるむ空気に つぼみはふくらもうか?と思うけど


夜の寒さに身を縮ませる・・・




みんな あたたかい日差しを待っている・・・




蛙も そうだった・・・



昼間には 必ず 窓辺で外を眺めるのが日課になった



お腹の傷口も 跡は残っているものの


ずいぶんよくなっているようす・・・



たまにお腹をさするとき


はたと手を止めて 傷口をながめている・・・




そんなある日・・・


その日の朝も寒かったけれど


日の出とともに


目が覚めた・・・


まだ早い時間だから再び眠ろうかと思ったけれど


表がなぜか気になった・・・



何かの気配がする・・・






  

ねこじゃらしの裏庭 目次




待ち遠しい春・・・




今朝から降る雨は


先日の暖かさとはうって変わって


冷たかった・・・




こんな日は 


そっと 布団の中でうずくまっている蛙・・・




たまに ぴくんと 足がのびて


ぱたぱた・・・と 手をばたつかせていた・・・




怖い夢でも見ているのか・・・




この雨が止んだら  


また 暖かい風が吹くだろう・・・



そのころには


この庭にも 川原にも たくさんの花が咲いて


蛙の仲間も姿を見せるかもしれない・・・




今朝も 蛙のごはんが届いていた・・・・



蛙は しっかり食べて


体力も持ち直しているみたい・・・


よかった・・・





しばらく見なかった猫が


今朝 ポストのあたりを歩いていた・・・



また 何か入っているかと思って見にいったけれど


空っぽだった・・・



様子を見にきただけなのかな・・・






ねこじゃらしの裏庭 目次


春の始まり・・・ 




お水取りが終わり


日中の風は あたたかく


梅も終わりを迎えようかというころ・・・




温かい日差しに誘われたのか


蛙が 窓辺に座っていた・・・




冬眠が終わったのか・・・?


大きな目をきょろきょろさせたかと思ったら


大きな欠伸をして 手足をぐ~んとのばして


そのまままた 目をつぶった・・・



このまま窓辺にいたら 蛙の干物が出来てしまいそうなくらい


うす~く伸びている・・・




心配していたら


しばらくして身体の血?が 温められて


するするとめぐったのか


ゆっくりと また丸まった・・・




そのまま 日差しが傾くまで


蛙は ゆっくりと 過ごした・・・





そして 次の日の朝・・・


ふたたび 玄関に 蛙のごはんが届けられるようになったんだ・・・







ねこじゃらしの裏庭 目次



ひかれあう巻物・・・




亀は ずいぶんと衰弱しているように見えた・・・


この洞窟に閉じ込められて どれくらいたっているのかはわからないけれど


わずかに天井から降りてくる光が 


苔を育て その苔を亀は食べているようだった・・・




たまに顔を見せるコイは


川から ちいさな魚や虫をこの洞窟の奥へと追いつめて


亀の口へ持っていってやっていた




蛙は 亀を外に出してやりたかったが


その力は今の自分にはないことはわかっているので


亀の言葉通りならば 残りの巻物と出会い


巻物に託されたものをまずは 知ることだと思った・・・




コイは 手筈を整えていてくれて


行けるところまで 蛙を送り届けることとなった



蛙は 亀に別れを告げて 


コイと出発する・・・




一本の巻物が 蛙を導く・・・



残りの巻物も それぞれだれかを導いて・・・





蛙は 夏の暑い日を 振り返るように夢をみていた・・・




長い長い夢のあと 蛙は 目を覚ました・・・








ねこじゃらしの裏庭 目次







巻物の行方・・・




亀は 蛙が来たことを大変喜んだ


巻物を持ってくるものを案内するように


亀は伝え聞いていた



このままでは 途絶えてしまうかもしれないと


亀は恐れていたから・・・




蛙は 亀に聞きたいことがたくさんあったが


何から聞いたらいいのかも 


わからなくなっていた・・・



亀は その様子を察して


まずは 自分の話をつたえることにした




巻物は 蛙の持つもの以外に5本作られていた・・・


一本は 地図の印の場所に・・・


後の3本は 行方はわからなくなっていた・・・



ただ その3本も いずれ近いうちに集まることになるだろうと


亀は 蛙に言った・・・




蛙の行動も いずれ集まる3本も ひかれあっているからと・・・








ねこじゃらしの裏庭 目次









亀の巻物・・・




亀は巻物を小さいころに見たことがあって


そのころの話を蛙に聞かせた・・・




亀が小さいころ・・・


それは 昔むかしの話だった・・・



亀の祖父のまだ若いころの話・・・




祖父がその頃住んでいたあたりを


巻物に書きつけた・・・




その当時からは ずいぶん地形も変わって


川の流れも 変わっていた・・・



蛙が目指していたところはやはり川はなく


今は少し湿地が残るだけのようだった・・・



人の手によって 川の整備もされ


その湿地に向かうのは 困難なことも


亀は蛙に教えた・・・




その湿地には 今もまだ あのころの面影を残すものがあると


亀は言った・・・




それだ! やっぱりあったのだ!


蛙は その面影を残すものを目指すことに決めた・・・




その昔 亀の書いた巻物は いつしか蛙に伝わって 


何代も何代も長い間受け継がれていったのだった・・・



いつしか 何のためのものなのかも わからなくなっていたが・・・



蛙は それを知りたかった・・・


なぜ この巻物が伝わっているのかを・・・






ねこじゃらしの裏庭 目次




亀の瀬 ・・・




亀はこの場所から 動けなくなっていた・・・


どのくらい時が流れているのかわからないが


このあたりの地形は


川の下に向かって


地盤が押されて 動いている・・・




地盤の動きを止めるために


人が大きな杭をいくつもいくつも長い年月をかけて


打っているようだ・・・


そのおかげか 


しばらく この動きは止まっているかのようだけれど


その反動もいつ起きるかわからない・・




亀は その地盤の動きで 入口が狭まって


この洞窟に閉じ込められてしまったようだった・・・




この洞窟の空間も 亀には はじめはよかったが


亀が大きくなるにつれて


身動きが出来なくなってしまった・・・




長い年月がすぎて


甲羅には苔が生えて 岩のようになっていった・・・




蛙が 巻物を持って旅に出たことは


すでに亀は知っていて


巻物を見せてくれと 頼んだ・・・




蛙は 巻物を広げると


亀は涙を流した・・・






ねこじゃらしの裏庭 目次






水中・・・




水の中から 天井を見上げると


月が 柔らかな光に包まれていた



岩の苔は 水の中でゆれていた・・・


白く小さなつぼみをつけている・・・



ぽこぽこと 泡が出ている方を見ると


きらっと光ったかと思ったら


その光が蛙の方へ


向ってきた・・・




蛙は 岩から離れると


はっと 気がついた・・・




亀だ・・・


大きな岩と思っていたのは亀の甲羅で頭を出して


こちらに顔を向けたのだった・・・




亀は 蛙に甲羅に乗るようにと首を水面に向けて振り


頭を水面に出した・・・




甲羅に乗った蛙は


亀の頭が出てくるのを眺めていた・・・




コイが会わせたかったのは


この亀だったのか・・・




亀は 蛙に顔を近づけて


何やらぼそぼそとつぶやいた・・・












苔のむす岩・・・



コイは 光の筋の向こう側へ泳いでいった・・・


その先は また薄暗くなったが


大きな岩が水面から出ているのが見えた



岩には 苔がたくさんついていて


水滴を含んでいるところは きらきらと光っていた




コイはその岩の淵に寄ると


蛙にそこにいるように言って


蛙を降ろすと 水面から 姿を消した・・・




蛙は 苔の上に座って


疲れた体を 横たえた・・・


ひんやりとした苔は 気持ちよく


蛙は そのまま目を閉じて


眠ってしまった・・・




しばらくして 何かに呼ばれた気がして


蛙は 目を覚ました




夜になり 天井からは 月明かりがさしていた・・・


月は 小望月


普段の月明かりよりも 明るく感じた・・・


明日は満月か・・・



天井から見える月も 星空も


水面の輝きも 何もかもが光り輝いている・・・




ぽこぽこぽこ・・・



水面に 小さな泡が現れて


その泡が だんだん大きくなっていった・・・




その泡に驚いた蛙は


苔の上ですべって水面に落ちてしまった・・・










ねこじゃらしの裏庭  目次








暗闇の先に・・・




真っ暗な中を進んでいくうちに


目が慣れてあたりが少しずつ見えるようになってきた




通路のように水がたまっているところを


コイはどんどん進んでいく


岩場の両方の壁も 少しずつ 間が広がっていく






空気は少しずつ温かくなり


柔らかな風を感じるようになっていた




遠くに一筋の光が 差し込んでいるのが見えてきた



光の筋の周りは 広い空間になっていて


深い湖のようになっている



近づくにつれて


水の量も増えて 底がどんどん深くなっているようだった



底まで すっきりと見渡せる


色は 深いブルー



光の筋は 水面から 底まで 届いていた




光がさしている天井は 岩場の間から


青い空をのぞかせていた・・・








ねこじゃらしの裏庭  目次







蛙の川下り・・・



コイは 器用に浅瀬を泳いでいく


蛙を背にのせて


巻物を濡らさないように




コイは物知りで


コイの背に乗る前に巻物が濡れないように 


葉っぱを巻きその上から 


コイが川底から取ってきたぬるぬるしたものを


蛙は塗りつけた




川の流れの緩急にうまく身をのせながら


コイはどんどん泳いでいく


蛙はコイの背で 必死にくっついている






岩場のすきまに


コイは入って行った



その中はさっきまでの川の流れが途切れて


静かな暗闇が広がっていた・・・




その暗闇の中を 


進んでいく・・・






ねこじゃらしの裏庭  目次






Thank you♡
プロフィール

mimousa

Author:mimousa
カエルnoテ にお越しくださって ありがとうございます♪

ねこじゃらしの裏庭



おたまな気分♪handmade★カエルnoテ

アメブロでも書いてます♪

カテゴリ
最新記事
検索フォーム
Twitter
月別アーカイブ
フリーエリア

にほんブログ村
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

お世話になっております♪
リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR